コラム 第1号
嘘を見抜く目を育てる|「怪しさ」から見る副業を勉強するメリット

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2022年5月12日発行

2022年現在、長期にわたる不景気やコロナ禍での収入減などの影響もあり、本業以外の仕事で収入を得る「副業」がブームになりつつあります。厚生労働省や経団連、大手企業なども副業を勧める動きを見せており、今後もダブルワーク・週末起業などは普及していくでしょう。

一方で、新たな問題も発生しています。

「誰でも簡単に稼げる副業」といった甘い言葉で騙し、数十万円以上の商材を売りつけたり、詐欺事業に荷担させたりなどの事例が多発しているのです。消費者庁や国民生活センターでは、毎年のように悪質な事業者名・手口を公表するなどで、注意喚起する事態となっています。

「やっぱり、副業ってなんか怪しい……」と感じる人もいるかもしれませんね。

しかし、ここは逆転の発想。あえて副業の「怪しさ」に目を向けてみてください。そこにはビジネスでも使われるマーケティング手法や、詐欺師に騙されないためのコツが隠されています。

怪しい副業案件も見方を変えれば、自身のスキルやキャリアにプラスできる、優秀な教材として活用できるかもしれません。

今回は「副業の怪しさから、嘘を見抜く目を育てる」をコンセプトに、副業について勉強するメリットをご紹介します。

無料・低価格は罠? フロントエンド・バックエンド商品の仕組み

フロントエンド商品は「集客・調査を目的とした商品」、バックエンド商品は「実際に売りたい(収益源)となる商品」のことです。

まずフロントエンド商品でお客様に自社サービス・商品の良さを知ってもらいます。その後、バックエンド商品を購入していただくという流れになります。

この戦略の身近な例は次のとおりです。

  • スーパーの特売
  • レストランの開店セール
  • 通販商品の初回無料特典 など

住友電工情報システムの場合だと、製品に関する無料相談やセミナーがフロントエンド商品、ご購入いただく製品がバックエンド商品となります。このように、ビジネスにおいてはよく使われるマーケティング手法ですね。

しかし、この手法は怪しい副業の紹介方法としても悪用されています。次の例は、消費者庁の公表資料で解説されている手口です。

  1. LINEやメールマガジンに登録させる
  2. LINEやメールの連絡にURLを貼ってWebサイトへ誘導し、誘導先で「毎日◯万円稼げる」「動画を紹介するだけで報酬を得られる」との広告宣伝を確認させる
  3. 同じくLINEやメールで、あたかもビジネスが成功していると思わせる「やらせ動画」を配信する
  4. 「動画の後半で約1万円支払えば、私たちのビジネスに参加できますよ」と勧誘する
  5. お金を支払った人にマニュアルと称した情報商材を送って行動させ、最初だけ1万数千円のお金を振り込んで信用させる
  6. 最終的にビジネス継続のために数百万円の情報商材を購入させた後、ビジネスについて煙に巻いて逃げる(無理難題を押し付けてビジネスをさせないなど)

上記は無料のLINE・メールマガジン登録や約1万円の情報商材がフロントエンド商品、数百万円レベルの情報商材が本命のバックエンド商品になります。

このケースではWebサイトへ誘導していますが、近年では副業系のオンラインサロンへ誘導して、サロンメンバーが直接売り込む手口も見受けられます。クローズドな場かつ直接人とやり取りすることを考えると、購入へとより誘導させられやすい環境といえるかもしれません。

さて、この事例からわかるのは「無料登録だから安心」「少額から始められる」との言葉を、100%信用するのは危険ということです。

詐欺師たちはそうした心理を逆手に取り、安心と錯覚させ、登録させてから一気につけこみます。中には登録させて入手した個人情報を人質にして、脅迫めいたやり取りで買わせる悪質な者も存在します。

騙されないためのコツとしては、登録・購入する前に紹介商品や運営元について自分で調べてみることです。GoogleやSNSで検索してみて、次の要素に当てはまる場合は、一旦は詐欺を疑ってみましょう。

  • 具体的な実績・活動記録・商品の性能などが出てこない(詐欺師の多くは具体的な部分を濁す)
  • 肯定意見しか出てこなくて不自然である
  • 肯定派の人も似たようなビジネスをしている
  • 当該ビジネスの運営元の評判が、同業者からすこぶる悪い
  • 競合商品の相場より高額な値段設定となっている など

筆者の友人も、無料コンサル→約5万円の商材→約30万円の商材という流れで騙されたと、飲みの席で荒れていたのを覚えています。

実際に商材を見せてもらいましたが、突貫で作ったかのような文字だけのパワーポイントに、マーケティング入門レベルの内容や抽象的なマインド論が語られているのみでした。
「あぁ、もう少し早く相談してくれれば……」と思ったのと同時に、怪しい副業の魔の手はすぐそこまで伸びているのだと戦慄した記憶があります。

もし身近な知り合いや自社の従業員が同じような状況に陥ってそうであれば、取り返しがつかなくなる前に一度声をかけてみましょう。

「【期間限定】まだ知らないの? たった1か月で簡単に20万円を手に入れる方法」のタイトルに潜む危険性

上記見出しのタイトルを見て、いかにも怪しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

実はこのタイトルの中には、コピーライティング(広告文)でも使われる、人間の興味を引く4つの要素が組み込まれています(筆者の拙い付け焼き刃タイトルで申し訳ないのですが…)。

期間限定 限定性や希少性を伝える
まだ知らないの? 呼びかけ・煽りで「知らないのは恥ずかしいこと」と思い込ませる
たった1か月で簡単に 「めんどくさいのは嫌だ」という人間の心理を突いて、具体的な数値と簡便性をアピールする
20万円を手に入れる方法 「お金を稼ぎたい」という層に具体的な値段を伝える(そもそも人間は潜在的にお金に話題を惹かれる習性がある)

怪しい副業の勧誘文は、こうした「人間の興味を引くキャッチコピー」を巧みに利用して、消費者たちをうまく引き込んで騙します。今回はタイトルを例に挙げましたが、うまい人はLINEやメールでの長文メッセージの中にも織り交ぜてきます。

「こんな怪しい文言に引っかかるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、実際に被害が広がっているのは事実。また周到な詐欺師たちは、事前に「お金を稼ぎたい、または潜在的に思っている顧客データ」を収集し、その層を中心にアプローチをかけます。

(これはマーケティングでいう「リード獲得」を悪用した事例で、最近ではSNSでのRT企画などが有名ですが、解説はまたの機会に…)

しかし、コピーライティングは広告業界や執筆業の方の間では、普通に用いられるスキルです。言ってしまえば、スーパーのチラシだってコピーライティングの一種です。

このスキルを正しく使いこなせば、上司へのプレゼンや取引先との交渉などでも役に立つこと間違いありません(ただし嘘をついたり、話を盛りすぎたりするのは、詐欺師と一緒なのでNGです)。

人を惹きつけるフレーズにはどんなものがあるか興味を持った方は、市販のコピーライティング本やキーワード集など一度手に取って見てはいかがでしょうか。

日常生活のさまざまな場面でコピーライティングが使われているのがわかると、なかなかに面白いですよ。

【副業をご検討されている方へ】
契約内容を証拠として残すこと

ここからは実際に副業をご検討されている方に、お役立ち情報をお伝えします。ご興味ある方はご覧ください。

副業をお考えの会社員の方の中には、アルバイトのような雇用契約ではなく、業務委託契約(請負契約や委任契約など)をイメージする方も多いのではないでしょうか。

まず業務委託契約とは何かをおさらいしますと、「ある会社や個人が業務について、外部企業や個人(フリーランスや副業をしている会社員など)に委任する契約」のことです。雇用契約のような「労働者と事業者の関係」ではなく、会社との対等な立場で契約を結びます。

副業する人にとっては、会社の就業規則に縛られずに自由な契約ができる点が、魅力的に映るかもしれません。

ただし注意したいのは、業務委託契約だと「労働者扱いされない」という点です。つまり労働基準法の適用対象外になるので、最低賃金や有給休暇、残業の扱いなどの最低限の労働条件が保障されません。

(働き方の実態が労働者に近い場合は、「偽装請負」扱いとして労働基準法の対象になることもあります)

そのため、業務委託契約では「どのような条件で契約したかをしっかり確認すること」とともに、「契約内容を契約書やメッセージとして残しておくこと」が、いざというときの命綱になります。

業務委託契約での副業に多いトラブルとして、「報酬未払いや減額」「事前共有されていない業務の追加」などが挙げられます。残念ながら、悪質な取引先や委託先を軽視している企業相手との取引では珍しくありません。

このとき、報酬や作業内容が契約書やメッセージとして残っていれば、契約外の対応については無効にできる可能性が高いです。

しかし、何も証拠を残していないと相手が未払い・減額などをした証明ができなくなるので、そのまま泣き寝入りになるパターンが発生します。

業務委託契約は口頭でも成立が認められるのがやっかいな点で、口頭での契約だと相手方にとぼけられた時点で厳しい立場になってしまうのです。

もし業務委託契約での副業を行うときは、以下の対処法が考えられます。

  • 契約書作成し締結する
  • 見積書、請求書、納品書など法的効力を持つ文書を作成する
  • 仲介プラットフォームを介するなど、契約内容や仕事のやり取りが残るように工夫する
  • メッセージアプリやメールで契約内容を文言で残す(スクリーンショットや写真として残すとより効果的) など

会社員として働いていると、こうした契約関係に疎くなりがちです。しかし副業を考えている場合は、悪い取引先に騙されないように自衛する方法を身につけておきましょう。

副業で「直感」を磨き、あなたのキャリアのプラスとする

筆者はフリーランスの方とお話しする機会も多いのですが、業界が長い人ほど「怪しいと思ったときの直感はよく当たる。だから怪しいと思った相手とは取引しない」と話されます。

あくまで筆者の考えですが、おそらくフリーランスとして働く中で怪しい相手にしてきた経験・知識が積み重なり、直感が働くようになったのではないでしょうか。

そのため、副業の怪しさにフォーカスを当てて分析・勉強することで、このフリーランスの方と同じように怪しさを見抜ける「直感」が磨けるのではと考えています。キナ臭い取引先を判断できるようになれば、詐欺に引っかかるのを防げるだけでなく、優良な案件を見つけやすくなるはずです。

また今回紹介したように、怪しい副業には多くのマーケティング手法などがちりばめられています。詐欺を真似するのはご法度ですが、考え方やテクニックについて深掘りして勉強すれば、あなたの本業で活かせる部分もたくさんあるでしょう。

「副業を始めたいけど、怪しいそうなのが多くて二の足を踏んでいる」とお悩みの方は、まず怪しい副業はどのような手口が隠されているかを学んでみてください。

しっかり学んで悪質業者たちの嘘を見抜けるようになれば、いざ自分が副業を始めるときには立ち回りがすでに身についているはず。さらには、自分のキャリアにおけるスキルアップにもつながるでしょう。